流体解析のあれこれ

流体解析をこよなく愛する有限体積法の信者によるブログ

常微分方程式の数値解法(6)

SciPyのodeintを用いて以下のOrdinary Differential Equations (ODE)を解き,文献[1]の数値解を再現する. ここで,,,,であり,初期値は,,とした. [1] Field, R. J. and Noyes, R. M., Oscillations in chemical systems. IV. Limit cycle behavior in…

常微分方程式の数値解法(5)

SciPyのodeintを用いて以下のOrdinary Differential Equations (ODE)を解き,文献[1,2]のChemical Akzo Nobel problemの数値解を再現する. [1] Amat, S. et al., On a Variational Method for Stiff Differential Equations Arising from CHemistry Kinetic…

常微分方程式の数値解法(4)

SciPyのodeintを用いて以下のOrdinary Differential Equations (ODE)を解き,文献[1]のProblem HIRESの数値解を再現する. [1] Amat, S. et al., On a Variational Method for Stiff Differential Equations Arising from Chemistry Kinetics, Mathematics, …

常微分方程式の数値解法(3)

SciPyのodeintを用いて以下の厳密解のあるOrdinary Differential Equations (ODE)を解き,文献[1]の数値解を再現する. なお,文献[1]のの右辺第3項のはの間違いである.これら常微分方程式の厳密解は以下に示すとおりである. [1] Thohura, S. and Rahman, …

常微分方程式の数値解法(2)

SciPyのodeintを用いて以下のOrdinary Differential Equations (ODE)を解き,文献[1,2]のRobertson problemの数値解を再現する. ここで,初期値,,である. [1] Thohura, S. and Rahman, A., Numerical Approach for Solving Stiff Differential Equations…

常微分方程式の数値解法(1)

SciPyのodeintを用いて以下のOrdinary Differential Equations (ODE)を解き,文献[1]の数値解を再現する. ここで,,初期値,である. [1] Petzold, L., Automatic selection of methods for solving stiff and nonstiff systems of ordinary differential …

EnSight Goldフォーマット

以前,ParaViewを用いた可視化に用いるデータファイルのフォーマットにはEnSight Goldフォーマットが良いと述べたが,EnSight Goldのファイルフォーマットは以下のドキュメントのSection 11.1 EnSight Gold CaseFile Formatで厳格に定義されている.

Sommerfeld and Qiu (1992)の円管内の蒸発を伴う液滴噴霧の乱流流れ

Sommerfeld and Qiu (1992) 1)は蒸発液滴を噴霧しない場合と噴霧する場合の熱移動を伴う円管内の乱流流れに関する実験について報告している.液滴を噴霧しない場合には,流体の速度や温度の平均値や分散について,液滴を噴霧する場合には,液滴の質量流束,…

Johnson and Bennett (1984)の円管内における物質移動を伴う同軸二重噴流の乱流流れ

Johnson and Bennett (1984)1)は円管内における物質移動を伴う同軸二重噴流の乱流流れの解析を実施している.具体的には,作動流体を水とし,中心の噴流にのみインクを添加し,円管内の速度とインクの濃度を測定し,それらの時間平均値や分散を報告している…

Habib and Whitelaw (1980)の円管内における同軸二重噴流の乱流流れ

Habib and Whitelaw (1980)1)は円管内における同軸二重噴流の乱流流れの解析を実施している.具体的には,作動流体を空気とし,円管内の速度を測定し,それらの時間平均値や分散を報告している.なお,スワラを設置しない場合と設置した場合について検討して…

スタッガード格子とコロケート格子

1973年に速度成分以外のあらゆる物理量をセル中心に,速度成分をセル界面に定義するスタッガード格子が提案された.その後,1983年にRhie-Chowの補間が発表されて以来,速度成分を含むあらゆる物理量をセル中心に定義するコロケート格子を用いて,チェッカー…

ポリヘドロン(多面体要素)

非構造格子で用いられるハイブリッドメッシュでは, テトラへドロン ピラミッド プリズム ヘキサへドロン の要素が用いられる.テトラへドロンはデローニ法により自動生成できるものの,要素間の界面と要素中心間を結ぶ直線の直交性が必ずしも高くないため,…

一次元非定常拡散問題の理論解(2)

以前,有限体積法の数値解を検証することを目的として,両境界にディレクレ条件を適用する場合の一次元の拡散(熱伝導)問題の理論解(厳密解あるいは解析解)を紹介した.今回は,異なる境界条件を適用する場合の一次元の拡散(熱伝導)問題の厳密解(解析解)を紹…

一次元非定常拡散問題の理論解(1)

有限体積法を学ぶ際,一次元の拡散(熱伝導)問題から始めるだろう.その際,拡散問題の数値解を検証したい.「図解伝熱工学の学び方」のpp. 62-64に一次元非定常熱伝導の理論解(厳密解あるいは解析解)が載っているので,ここで紹介しておく.具体的には境界条…

拡散燃焼へのFGM法の応用

以前の記事で,Flamelet-Generated Manifolds (FGM)法は,当初,予混合燃焼を対象とした燃焼モデルであることを紹介した.これは,FGM法では目的の燃焼シミュレーションにおいて参照するFlamelet tableが単一の等量比の予混合火炎を対象に構築されるためであ…

Taylor et al. (1981)のベンドを有する矩形ダクト内流れ

Taylor et al. (1981)1)は90°のベンドを有する矩形ダクト内の層流および乱流流れの測定を行っている.90°のベンドを有するため,境界適合格子や非構造格子を用いた流体解析の検証問題に用いることができる.乱流流れの測定も行っていることから,これらの格…

Durst and Loy (1985)の急縮小を伴う円管内における層流流れの実験

Durst and Loy (1985)は種々のReynolds数に対して円管内における急縮小を伴う層流流れの詳細な実験データを提供している.特に急縮小前後における流れ場として軸方向速度成分の測定値が提供されている.なお,流入境界条件には円管内発達した層流流れの解析…

連立方程式(行列式あるいは線形システム)の解法(1)

非圧縮性流体解析では,圧力を陰的に取り扱うため,圧力の解法がMAC (Marker And Cell)系解法あるいはSIMPLE (Semi-Implicit Method for Pressure-Linked Equations)アルゴリズムによらず,圧力あるいはその補正値を求めるためには連立方程式(あるいは行列式…

Armaly et al. (1983)のバックステップ流れの層流流れの実験

Armaly et al. (1983)はのバックステップ流れの層流流れに関する詳細な実験データを報告している.特に急拡大後における流れ場として流れ方向の速度成分の測定値が提供されている.なお,流入境界条件には平板間の発達した層流流れの解析解の分布を与えるの…

有限体積法の学び方(2)

1994年に出版された「数値流体工学」では, 第2章「熱伝導方程式を利用した有限体積法入門」で拡散項の離散化について 第3章「ナビエ・ストークス方程式の解法」で拡散項に加えて対流項の離散化と圧力の解法としてSemi-Implicit Method for Pressure-Linked …

有限体積法の学び方(1)

有限体積法に限らず新たな解析手法を習得するには膨大な時間を要する.このシリーズ「有限体積法の学び方」では,著者がこれまで紆余曲折しながら有限体積法を学んだ経験から限られた時間の中で効率良く有限体積法を学ぶ方法を紹介する. ソースコードはつい…

Flamelet-Generated Manifolds (FGM)法

Flamelet-Generated Manifolds (FGM)法はvan Oijen and de Goey (2000)が提案するFlamelet approachの一種であり,間接的ではあるものの詳細化学反応機構を考慮可能な燃焼モデルの1つである.当初は,詳細化学反応機構を用いて種々の熱損失下において一次元…

Kasagi and Matsunaga (1995)のバックステップ流れを対象とした乱流流れの実験

Kasagi and Matsunaga (1995)はバックステップ流れを対象とした乱流流れの詳細な実験データ(fc_bs007, fc_bs007b)を提供している.このバックステップ流れを対象として,多くの研究者がReynolds-Averaged Navier-Stokes (RANS)やLarge Eddy Simulation (LES)…

Ghia et al. (1982)のキャビティ流れ

流体解析に限らず,in-houseの計算コードを開発する上で,計算コードの妥当性の検証は必要不可欠である.検証問題としては, 実験における測定値 解析(厳密)解 数値解 が考えられ,測定値は主に「正しい基礎式を解いているか」を検証するため,解析解と数値…

渦消散モデル

以前,乱流流れにおける化学反応速度について述べたが,乱流燃焼モデルの1つに渦消散モデル(Eddy Dissipation Concept (EDC))がある.EDCでは,化学反応速度は無限大に大きいと仮定し,乱流場における燃料と酸化剤の混合によって決定されるとする.そのため…

MAC系解法とSIMPLE系アルゴリズム(2)

以前,MAC系解法とSIMPLE系アルゴリズムについて特にその選択方法について解説した.CAE懇話会の中部地区「流体伝熱基礎講座」の第4回の流体数値計算法の資料「流体数値計算法」と「流体計算の時間進行法と計算アルゴリズム」にMAC系解法とSIMPLE系アルゴリ…

有限体積においてスタッガード格子を用いる場合の運動量の保存性

有限体積法において,コロケート格子では,速度成分を含むあらゆる物理量をセル中心に定義するのに対し,スタッガード格子では,速度成分以外の物理量をセル中心に,速度成分をセル界面にそれぞれ定義する.コロケート格子では,Rhie-Chowの補間を用いない限…

フリーソフトウェア「AV似非」によるスカラーのコンターとベクトルの可視化

以前紹介したとおり,「ParaView」は有償の可視化ソフトウェアと比較して十分な機能を有し,遜色ないくらい軽快に動作する.「ParaView」を使う前は,ずいぶん前から開発は止まっているが,フリーソフトウェア「AV似非」を用いていた.「AV似非」は二次元の…

MAC系解法とSIMPLE系アルゴリズム(1)

非圧縮性流体を対象とした解析では,圧力の分離解法(いわゆるカップリングスキーム)としてMAC (Marker And Cell)系解法とSIMPLE (Semi-Implicit Method for Pressure-Linked Equations)系アルゴリズムのいずれかが用いられる.今回はMAC系解法とSIMPLE系アル…

有限体積法におけるMAC系の解法

密度一定の(個人的には密度が圧力によって変化しないと理解している)非圧縮性流体の圧力の分離解法(いわゆるカップリングスキーム)は,アメリカのロスアラモス国立研究所が開発したMAC (Marker And Cell)系解法とイギリスのインペリアルカレッジが開発したSI…