流体解析のあれこれ

流体解析をこよなく愛する有限体積法の信者によるブログ

有限体積においてスタッガード格子を用いる場合の運動量の保存性

有限体積法において,コロケート格子では,速度成分を含むあらゆる物理量をセル中心に定義するのに対し,スタッガード格子では,速度成分以外の物理量をセル中心に,速度成分をセル界面にそれぞれ定義する.コロケート格子では,Rhie-Chowの補間を用いない限り,圧力勾配が適切に速度成分に作用しないてめ,チェッカーボード圧力場と呼ばれる非現実的な市松模様の圧力場が生じる.一方,スタッガード格子では,圧力勾配が直接速度成分に作用するため,非現実的な圧力場が生じることはない.MAC系解法やSIMPLE系アルゴリズムによって,スカラーセル界面において厳密に連続の式が満たされる.そのため,速度成分以外の物理量に関しては高い保存性が期待できる.一方,各モーメンタムセル界面では厳密に連続の式が満たされない.これはモーメンタムセル界面の流束が補間によって求められるためである.加えて,境界条件として規定されるスカラーセル界面の流束を直接参照していないためである.以上より,スタッガード格子における運動量の保存性については期待できないと考える.