流体解析のあれこれ

流体解析をこよなく愛する有限体積法の信者によるブログ

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

連立方程式(行列式あるいは線形システム)の解法(1)

非圧縮性流体解析では,圧力を陰的に取り扱うため,圧力の解法がMAC (Marker And Cell)系解法あるいはSIMPLE (Semi-Implicit Method for Pressure-Linked Equations)アルゴリズムによらず,圧力あるいはその補正値を求めるためには連立方程式(あるいは行列式…

Armaly et al. (1983)のバックステップ流れの層流流れの実験

Armaly et al. (1983)はのバックステップ流れの層流流れに関する詳細な実験データを報告している.特に急拡大後における流れ場として流れ方向の速度成分の測定値が提供されている.なお,流入境界条件には平板間の発達した層流流れの解析解の分布を与えるの…

有限体積法の学び方(2)

1994年に出版された「数値流体工学」では, 第2章「熱伝導方程式を利用した有限体積法入門」で拡散項の離散化について 第3章「ナビエ・ストークス方程式の解法」で拡散項に加えて対流項の離散化と圧力の解法としてSemi-Implicit Method for Pressure-Linked …

有限体積法の学び方(1)

有限体積法に限らず新たな解析手法を習得するには膨大な時間を要する.このシリーズ「有限体積法の学び方」では,著者がこれまで紆余曲折しながら有限体積法を学んだ経験から限られた時間の中で効率良く有限体積法を学ぶ方法を紹介する. ソースコードはつい…

Flamelet-Generated Manifolds (FGM)法

Flamelet-Generated Manifolds (FGM)法はvan Oijen and de Goey (2000)が提案するFlamelet approachの一種であり,間接的ではあるものの詳細化学反応機構を考慮可能な燃焼モデルの1つである.当初は,詳細化学反応機構を用いて種々の熱損失下において一次元…

Kasagi and Matsunaga (1995)のバックステップ流れを対象とした乱流流れの実験

Kasagi and Matsunaga (1995)はバックステップ流れを対象とした乱流流れの詳細な実験データ(fc_bs007, fc_bs007b)を提供している.このバックステップ流れを対象として,多くの研究者がReynolds-Averaged Navier-Stokes (RANS)やLarge Eddy Simulation (LES)…

Ghia et al. (1982)のキャビティ流れ

流体解析に限らず,in-houseの計算コードを開発する上で,計算コードの妥当性の検証は必要不可欠である.検証問題としては, 実験における測定値 解析(厳密)解 数値解 が考えられ,測定値は主に「正しい基礎式を解いているか」を検証するため,解析解と数値…

渦消散モデル

以前,乱流流れにおける化学反応速度について述べたが,乱流燃焼モデルの1つに渦消散モデル(Eddy Dissipation Concept (EDC))がある.EDCでは,化学反応速度は無限大に大きいと仮定し,乱流場における燃料と酸化剤の混合によって決定されるとする.そのため…

MAC系解法とSIMPLE系アルゴリズム(2)

以前,MAC系解法とSIMPLE系アルゴリズムについて特にその選択方法について解説した.CAE懇話会の中部地区「流体伝熱基礎講座」の第4回の流体数値計算法の資料「流体数値計算法」と「流体計算の時間進行法と計算アルゴリズム」にMAC系解法とSIMPLE系アルゴリ…

有限体積においてスタッガード格子を用いる場合の運動量の保存性

有限体積法において,コロケート格子では,速度成分を含むあらゆる物理量をセル中心に定義するのに対し,スタッガード格子では,速度成分以外の物理量をセル中心に,速度成分をセル界面にそれぞれ定義する.コロケート格子では,Rhie-Chowの補間を用いない限…

フリーソフトウェア「AV似非」によるスカラーのコンターとベクトルの可視化

以前紹介したとおり,「ParaView」は有償の可視化ソフトウェアと比較して十分な機能を有し,遜色ないくらい軽快に動作する.「ParaView」を使う前は,ずいぶん前から開発は止まっているが,フリーソフトウェア「AV似非」を用いていた.「AV似非」は二次元の…

MAC系解法とSIMPLE系アルゴリズム(1)

非圧縮性流体を対象とした解析では,圧力の分離解法(いわゆるカップリングスキーム)としてMAC (Marker And Cell)系解法とSIMPLE (Semi-Implicit Method for Pressure-Linked Equations)系アルゴリズムのいずれかが用いられる.今回はMAC系解法とSIMPLE系アル…

有限体積法におけるMAC系の解法

密度一定の(個人的には密度が圧力によって変化しないと理解している)非圧縮性流体の圧力の分離解法(いわゆるカップリングスキーム)は,アメリカのロスアラモス国立研究所が開発したMAC (Marker And Cell)系解法とイギリスのインペリアルカレッジが開発したSI…

連続の式と化学種の保存式の不一致

燃焼などの化学反応を伴う流れの計算では,連続の式と化学種の保存式の化学種に関する総和が一致しなければならない.化学種の保存式の非定常項と対流項の化学種の総和はそれぞれ連続の式における非定常項と対流項に帰着し,生成項すなわち化学種の正味の生…

乱流流れにおける化学反応速度の推算

一般に,化学反応速度は温度の関数であるアレニウス型の反応速度定数と反応物の濃度の積で表される.燃焼のような化学反応を伴う流れの計算を行う場合,化学種の保存式の右辺にこの化学反応速度が現れる.エネルギーの保存式としてとくべき変数を内部エネル…

Flamelet-Generated Manifolds methodとFlamelet/Progress-Variable approachの違い

学会などでFlamelet approachの1つであるFlamelet-Generated Manifolds (FGM) methodとFlamelet/Progress-Variable (FPV) approachが混同して用いられている場合がある.オリジナルの文献によると,FGMでは予混合火炎を対象に,FPVでは拡散火炎を対象にFlame…

CANTERAでunity Lewis number assumption

CANTERAは反応動力学計算で広く用いられているフリーソフトウェアである.CANTERAは燃焼モデルの1つであるFlamelet approachで用いられるFlamelet tableの構築にも用いられている.Flamelet approachの多くではいわゆる"ルイス数1"を仮定する(unity Lewis nu…

ParaViewによる可視化(3)

日本計算工学会に非会員でも読むことができるParaViewに関する記事載っています. ParaView超入門 ParaView超入門 其の二 ParaView超入門 其の三 ParaView超入門 其の四 ParaView超入門 其の五

ParaViewによる可視化(2)

無償の可視化ソフトウェアであるParaViewでは,可視化するデータに関して多くのファイルフォーマットに対応している.商用のコードを用いている場合,データのファイルフォーマットは指定されているため,可視化するデータのファイルフォーマットについて悩…

ParaViewによる可視化(1)

ひと昔前までは流体解析の結果を可視化するために,有償の可視化ソフトウェアを購入していた.最近ではもっぱら無償の可視化ソフトウェアであるParaViewを使わせていただいている.これはParaViewが有償の可視化ソフトウェアと比較して十分な機能を有し,遜…