流体解析のあれこれ

流体解析をこよなく愛する有限体積法の信者によるブログ

有限体積法におけるMAC系の解法

密度一定の(個人的には密度が圧力によって変化しないと理解している)非圧縮性流体の圧力の分離解法(いわゆるカップリングスキーム)は,アメリカのロスアラモス国立研究所が開発したMAC (Marker And Cell)系解法とイギリスのインペリアルカレッジが開発したSIMPLE (Semi-Implicit Method for Pressure-Linked Equations)系アルゴリズムに大別される.著者の知る限り,MAC系解法には,MAC,SMAC (Simplified MAC),HSMAC (Highly-Simplified MAC),Fractoinal Step法があり,本質的にはほとんど同じである.クーラン数の小さい条件で実施する非定常流れの計算には,計算時間の観点からSIMPLE系アルゴリズムよりもMAC系解法が適しており,なかでもSMACとFractional Step法が広く用いられている.有限差分法におけるMAC系解法について解説している参考書は数多く出版されているものの,有限体積法で用いられるMAC系の解法について詳しく解説している参考書はほとんどない.著者の知る限り唯一,「化学工学プログラミング演習, 4.2 SOLA法(2次元場), pp. 108-117, 培風館 (2000)」でSOLA (HSMAC)法がソースコードを含めて解説されている.有限体積法におけるMAC系解法を勉強したい方には重宝すると思われる.